パーヴォ・ヤルヴィ/ベートーヴェンの夕べ

5月20日(土)

e0058731_22585217.jpg楽しみにしていた諏訪内晶子のベートーベンのコンチェルト。それが、彼女は急病で降板。



残念無念・・・

e0058731_2301449.jpgそして、代わりにソリストとして登場したのがアメリカのヒラリー・ハーン。グラミー賞も受賞している若き実力派である。昨年、N響とプロコフィエフの1番を共演したときの指揮者が今日のヤルヴィだった。そのときの演奏は録画して持っている。6月のしらかわホールでのコンサートは、チケット完売。ま、彼女なら、納得。ということで、楽しみに出かけた。

今週は風邪を引き、(先週の山歩きのあと、汗でぬれた服のままいたのがよくなかった)行けるか心配していたが、なんとか間に合った。

プログラムはオールベートーヴェン。

序曲「コリオラン」 作品62
ドイツ・カンマー・フィルは、世界でも一流の室内管弦楽団の一つということだったが、確かにその音は、流麗にして豊穣。極上のワインのように心地よく酔わせてくれる。柔らかなところはあくまでも柔らかく、それでいて、きれがよく、1曲目から質の高い演奏を聴かせてくれた。

ヴァイオリン協奏曲ニ長調 作品61

ハーンは、数年前のいかにも若い、凄みのある演奏とはうってかわって、成熟した大人の女性の落ち着きを感じさせる、とても広がりのある演奏だった。演奏の合間にオケの方へ目をやったり、体でリズムをとったりと、余裕のある演奏ぶりだった。

アンコールは、「バッハのラルゴ」と、はっきりとした日本語で紹介。素晴らしいバッハを聴かせてくれた。コンサートの前に、迷いに迷って結局モーツアルトのソナタのCDを買ったが、バッハのCDも欲しくなった。

交響曲第3番 変ホ長調 作品55 「英雄」

あまりにも有名な曲だが、実は5番や6番、7番、9番ほど聴いていない。生で聴くのも、初めてだった。

聴こえなくなっていく耳の状態に絶望し、あの「ハイリゲンシュタットの遺書」を書いたベートーヴェンは、その絶望感を強い意志で克服し、この第3交響曲に取り組んだ。
当初は、ナポレオンに捧げるつもりであったが、皇帝になったのを知るや、「彼もまた俗物に過ぎなかったのか!これからは自らの野心を満足させるための暴君になるだろう」と、激怒し、楽譜の表紙に書いた「ボナパルト」という献呈の文字を激しく塗りつぶしたという。そして、新しい表紙には、「エロイカーある英雄の思い出のために」と、記されることになったのだ。

ヤルヴィの指揮は、とても明快でかっこいい。特に第2楽章は感動的で、涙ぐみそうになる。「一日中耳鳴りがしている」と、初めて友人に手紙で打ち明けたときの作曲家の胸中は、いかばかりであったか、、、そんなことを思いながら聴いていた。第3楽章のホルンの三重奏も美しい。

ヤルヴィの棒の魔術が、新たなる決意を持ってこの曲に向かったベートーヴェンの強い精神力を感じさせる、集中力のある演奏を作り上げた、と言いたくなるような今日の演奏だった。

アンコールは、シベリウスの「悲しいワルツ」。彼のシベリウスのカンタータ集のCDも、グラミー賞をとっているそうだ。

終演後、サイン会があった。

e0058731_010156.jpge0058731_011799.jpg










ヤルヴィにはプログラムに。ハーンには、CDのジャケットにサインしてもらった。

久しぶりに上質の演奏を聴き、大満足の夕べだった。
by kimukimulife | 2006-05-21 00:16 | クラシック
<< 醒ケ井〜柏原 鈴北岳〜御池岳〜藤原岳 >>