諏訪内晶子のバッハ

12月21日(水)

諏訪内晶子のバッハ_e0058731_2250074.jpg今年最後のコンサートは、大好きな諏訪内晶子のバッハ・プロジェクト 2005。期待通りの充実したコンサートだった。





ヘンデル:合奏協奏曲 変ロ長調

バッハ:ヴァイオリンとオーボエのための協奏曲 ニ短調
オーボエにバイエルン放送交響楽団の首席奏者だったフランソワ・ルルーを迎えてのこの曲は、2つの楽器が交互に旋律とリズムを受け持ったり、時には対等に合わせたり、となかなか聴いていて楽しくなる曲だった。どこかで聴いたことがあるような気がして、帰ってきてから調べてみたら、ゲルハルト・ボッセと名フィルの公開リハーサルの時に聴いたのだった。ちなみにこの時の本公演は、チケットを買おうと思ったときにはもう完売で行けなかったのだ。ルルーのオーボエの音のなんと柔らかなこと!オーボエと言うと、誰もが最初にこの楽器と意識して聴いたのが「ピーターと狼」の、アヒルのあのメロディだろう。いろいろな交響曲の中でも、活躍する場面がたくさんある、結構見せ場の多い?楽器だと思うが、彼のオーボエは、ソロ楽器としての魅力を堪能させてくれる。心が暖かくなるような演奏だった。

ヴェレシュ:パッサカリア・コンチェルタンテ

バッハ:ヴァイオリン協奏曲第1番 イ短調
大好きな曲。これまで、何人かの演奏家で聴いたが、いかにもバロック、というような整った、というか、お行儀のいい(?)演奏が多かったように思う。が、彼女の演奏は、とてもふくよかな人間味のある演奏だった。私が聴いた彼女の今までのイメージは、清楚、シャープ、洗練された、、、というものだったが、この日は、今までとは違い、何かとても柔らかな、表情豊かな印象を受けた。「聴き手に伝えたい思い」がしっかりと伝わってきた演奏という感じがした。何度聴いても、飽きない曲である。

C.P.E.バッハ:シンフォニア第5番 ロ短調

バッハ:2つのヴァイオリンのための協奏曲 ニ短調
大・大・大好きな曲。仲の良い友人と、楽しく語らっているようなこの曲は、私のお気に入りの曲の1つ。もう一人のソロ奏者は、チョーリャン・リン。息もぴったりで素敵な会話になっていた。少し前に千住真理子で聴いていたが、同じストラディバリウスでも、諏訪内さんのドルフィンは、艶っぽい、張りのある音で、それでいて、ハイフェッツが弾いていたときのような冷たいまでの鋭利な感じは、さほどせず、心地よく聴くことができた。

会場は、彼女の人気を表すようにほぼ満員。アンコールも、2人のソロというメリットを生かした、サラサーテのナヴァラ、バルトークの44の民謡よりピチカート・バグパイプ。彼女一人では、バッハの無伴奏ソナタからラルゴ。ルルーは、テレマンの12のファンタジーから第3番を演奏した。

最後は、スタンディング・オベーションも出るほどの、満足感いっぱいの演奏会だった。

来年は、ベートーベンの協奏曲を持ってまた来てくれるはずである。とても楽しみだ。
by kimukimulife | 2005-12-21 22:51 | クラシック
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