ファントム

12月9日(水)

ファントム_e0058731_11502920.jpgガストン・ルルーのオペラ座の怪人を原作とするミュージカル、「ファントム」。





今名古屋でやっていて、もうすぐ千秋楽を迎える劇団四季の「オペラ座の怪人」は、アンドルリュー・ロイドウェバー版。こちらは、アーサー・コピット版である。

ロイドウェバー版は、ドラマティックな音楽と、華麗な舞台で、世界で最もチケットが取りにくいミュージカルと言われているが、こちらのコピット版はエリック(ファントム)の生い立ちを詳しく扱い、その孤独と悲しみに説得力のある展開となっている。

日本初演は、宝塚版で、最初は宙組。エリックは和央ようか。再演は花組で、春野寿美礼がエリックを演じている。オペラ座の元支配人で実の父親であるキャリエールとの銀橋でのデュエットが有名である。特に花組での彩吹真央キャリエールとのデュエットは、その声の相性の良さもあり、伝説の名場面となっている。

ということで、おさ&ゆみこファンの私としては、というか、ナマでこの舞台を観ることが叶わなかった私としては、ぜひ観たい舞台だった。

エリック役が大沢たかお。クリスティーヌは杏。歌がどうなのかな、という心配もあったが、樹里咲穂のカルロッタが聴きたかったし、宝塚版と比べてどうなんだろう、という期待もあった。

大沢君は思ったよりよく歌っていたが、ビブラートがかからず、杏ちゃんも期待以上の歌唱力だったが、二人ともまだまだよくなるという感じがした。更なる向上を期待したい。カルロッタの樹里さんは、宝塚版の両方で演じた出雲綾と比べるのは酷だろうけど、高音の伸びが素晴らしく、この舞台のミュージカルとしてのレベルをグッと引き上げていた。ジュリさん、訓練してるんだろうなあ。

ファントムという芝居としては、申し分ないキャスティングで、舞台装置もよかったと思うが、ミュージカルとしてはどうなんだろう?特に、エリックの生い立ちをキャリエールがクリスティーヌに話す場面では、宝塚版のような劇中劇はなくすべてキャリエールの語りだったが、眠くなってしまったのは私だけだろうか?

私の若い頃に比べて、昨今海外ミュージカルの上演数はとても多くなっているが、映画やテレビの人気者を、少し歌えるからと言ってすぐに主演級で使うのはいかがなものか。ミュージカルは、ただセリフを歌うだけでは困るのだ。歌だけで観客を満足させられなければいけない、というのが私の持論である。とはいえ、歌だけ良ければいいものでもない。まあ、客が入らなければお話にならないのだから、話題作りも必要だろうけど。

樹里さん以外のメインキャストは、それなりの歌唱力はあるのだから、もっと演出を考えればより違った舞台になったのではないだろうか。

いちばん納得いかなかったのは、ジュリさんのカルロッタが初めから終わりまで同じドレスを着ていたような気がしたんだけど、そんなの、あり得なくない?それと、仮面を取ったエリックの顔だけど、傷も何もなかったような、、、?
by kimukimulife | 2010-12-14 11:50 | ミュージカル
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