セントラル愛知のエルガープログラム

9月15日(金)

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エルガーのチェロ協奏曲をやると知って、夏休みの終わりにチケットをとった。
オケはセントラル愛知交響楽団である。このオケは、初めて聴いた。

エルガーのこの曲と言えば、やはり誰もがジャクリーヌ・デュプレを思い出すだろう。




ジャクリーヌ・デュプレ・・・若くしてその才能を認められ精力的に演奏活動をしていたが、28歳で「多発性硬化症」を発病し42歳で他界した、イギリスの女流チェリストである。

「多発性硬化症」とは徐々に体の自由がきかなくなっていく、難病だ。数年前、友人がこの病気を疑われ、それを聞いたときには、体が凍りつきそうになったものである。幸い、友人は気になる症状も消え、今では普通の人の3倍くらい元気にしている。

何年か前に、「ほんとうのジャクリーヌ・デュプレ」という映画も公開された。ただし、この映画はあまり好きにはなれなかったが。

この曲は愛妻を亡くす少し前に作られた、エルガー最後の作品である。
愛する妻を亡くして、もう創作意欲がなくなってしまったということだろうか。

エルガーというと、仕事柄、「威風堂々」がすぐ思い浮かぶ。
卒業式の入場の曲にぴったりの曲で、よく使われるからだ。

しかし、やはり、このチェロ協奏曲が一番いい。そして、デュプレの演奏が最も心を揺さぶる。
演奏家としてこれから円熟した演奏を聴かせるようになるというときに、皮肉にも少しずつその能力を失っていくことになったデュプレの心中に思いを馳せるとき、切々としたこのメロディーが心につきささってくるのだ。

やりたいことがもっとあっただろうに。
元気だった時の自分を思い返し、今の自分がどんなに歯がゆかったことだろう。
思うようにならない体と気力に、絶望し、どんな思いだったのだろう。

名古屋出身の若手チェリストのホープである石川祐支が、どこまでこの曲を表現できるのだろうか・・・そんな思いで、ホールに向かった。

そしてその演奏は、決して悪くなかった。
曲の持つ哀感を、よく表現していたと思う。第一楽章の厳粛な感じの前奏に続く哀愁を帯びたメロディや、心の叫びのような上昇していく音形・・・情感あふれる演奏だった。
ビブラートも美しかったし、きれもあった。

最近、肉親とのつらい別れがあったので、思わず、込み上げてくるものもあった。

ただ、デュプレを聴いている耳には、どうしてもやや淡白に聞こえてしまうが。
余分なことを言わしてもらえば、ヘアースタイルに一考を。


本国のイギリスでは、ドボコン(ドボルザークのチェロ協奏曲)と同じように頻繁に演奏されるらしいが、日本ではあまり演奏されない。私も今回が初めてである。もっと、演奏される機会を作って欲しいものである。

その他のプログラムは、、、

朝の歌愛の挨拶、そして、エルガーの名を有名にした変奏曲「エニグマ」である。
「愛の挨拶」は、ヴァイオリンやヴィオラ、チェロで聴いたことはあるが、オケで聴くのは初めてだった。
「エニグマ」は、初めて聴いたが第9変奏の美しいこと・・・情感のあふれる感動的なその調べに、久々に好きな曲が一つ増えたなあ、という気がした。
さっそく、CDを買わなければ・・・

そうそう。指揮者は、小松長生。誠実そうな好感の持てる人だった。指揮は、力強く若々しい印象。次回は、もう少し広いホールで聴いてみたい。
by kimukimulife | 2006-09-16 00:36 | クラシック
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